「あれは、王に騎士の位を返上した」
「なんでっ!」
アスベリアは言葉を失い、目を見開いた。ベラスはそんなアスベリアの姿を見て自嘲気味に笑った。
「愚かなことをしたと思うか?奴にはもう戦場に立つことが耐えられなくなっていたんだ。正直、私も奴を失うのは惜しい。あれほどの者が今後現れるかどうかと想像しても、望みは薄いように思う。だが、奴の心中を思うと……、あの戦場での嘆きようを見続けるのも辛い。
国に失望し、心から命を懸けて仕える気持ちを失った者にとっては、ここは牢獄でしかないだろう」
王に失望した、とは言わないベラスの心の内を感じ取ったアスベリアも、自然と自分の手元へと視線を落とした。ノリスは一度戦闘が始まると、まるで人の心を捨てた鬼、まさに戦鬼と化して剣を振るうが、それが終わればまるで我に返ったかのように、戦場の血の海に突っ伏し懺悔と自分への呪いの言葉を吐きながら泣き叫んでいた。
――あれは、剣を握るべきではなかったのかもしれんな。
そんなノリスを見つめながら言っていたのは、ベラスだった。
「なんでっ!」
アスベリアは言葉を失い、目を見開いた。ベラスはそんなアスベリアの姿を見て自嘲気味に笑った。
「愚かなことをしたと思うか?奴にはもう戦場に立つことが耐えられなくなっていたんだ。正直、私も奴を失うのは惜しい。あれほどの者が今後現れるかどうかと想像しても、望みは薄いように思う。だが、奴の心中を思うと……、あの戦場での嘆きようを見続けるのも辛い。
国に失望し、心から命を懸けて仕える気持ちを失った者にとっては、ここは牢獄でしかないだろう」
王に失望した、とは言わないベラスの心の内を感じ取ったアスベリアも、自然と自分の手元へと視線を落とした。ノリスは一度戦闘が始まると、まるで人の心を捨てた鬼、まさに戦鬼と化して剣を振るうが、それが終わればまるで我に返ったかのように、戦場の血の海に突っ伏し懺悔と自分への呪いの言葉を吐きながら泣き叫んでいた。
――あれは、剣を握るべきではなかったのかもしれんな。
そんなノリスを見つめながら言っていたのは、ベラスだった。
