「それで、なぜノリスが?」
「我々もアスキス様のご心中を察して、小隊を出す事を王に進言したのだが、王は頑なにそれを拒まれた。そんな時、ノリスが王に食ってかかってなぁ……。あれは肝が冷えた」
ベラスは苦笑しながら顎鬚をなでる。
――王は、腹心であった方を、生きておられるかも知れない方を見捨てるおつもりなのですか!王を命を賭して守ろうとされている方を失ってもよいとおっしゃるか!
「あれはなんといえばよいものか、根っからの熱血漢というか、情に厚い男だったから、みすみす君らを見捨てるのが耐えられなかったのだろうよ。我らの制止を振り切って、一人で飛び出していった。彼も、シンパ戦で足に大怪我を負ってまともに歩けるような状態ではなかったというのにな」
アスベリアは、自分が雨の降りしきる闇の中で見た、黒い外套を着た死神の姿を思い出していた。夜の闇に紛れて行動するために、あのような姿をしていたのかと、今さらながら合点がいく。
「……ノリスは?そういえば姿を見ませんが」
「我々もアスキス様のご心中を察して、小隊を出す事を王に進言したのだが、王は頑なにそれを拒まれた。そんな時、ノリスが王に食ってかかってなぁ……。あれは肝が冷えた」
ベラスは苦笑しながら顎鬚をなでる。
――王は、腹心であった方を、生きておられるかも知れない方を見捨てるおつもりなのですか!王を命を賭して守ろうとされている方を失ってもよいとおっしゃるか!
「あれはなんといえばよいものか、根っからの熱血漢というか、情に厚い男だったから、みすみす君らを見捨てるのが耐えられなかったのだろうよ。我らの制止を振り切って、一人で飛び出していった。彼も、シンパ戦で足に大怪我を負ってまともに歩けるような状態ではなかったというのにな」
アスベリアは、自分が雨の降りしきる闇の中で見た、黒い外套を着た死神の姿を思い出していた。夜の闇に紛れて行動するために、あのような姿をしていたのかと、今さらながら合点がいく。
「……ノリスは?そういえば姿を見ませんが」
