「ベラス将軍、どうして……、私はここにいるんですか」
ベラスは口ひげを撫でながら目を細めた。
「何も覚えてはいないのか?」
「いえ、……一瞬、私は死神を見たのかと」
アスベリアはばつが悪そうに口ごもった。気恥ずかしさに視線が泳いでしまう。
「ああ、それはペルノーズだ。やつが君を見つけて、ここまで連れて帰ってきたんだよ」
アスベリアは口に含んだ薬湯を噴出しそうになった。
「なん……ですって?」
「シラーグ准将と君たち護衛騎士が、我々がここに戻ってから一週間たっても帰還しないことで、上がいろいろと紛糾(ふんきゅう)したんだよ。コドリスが執拗に君らを追っているのではないか、どこかに幽閉されたのではないかとね」
「しかし、我々の役目はコドリス軍の目を引きつけることでしたから、当然だったのではないですか?」
「紛糾したのはそこではないんだ。シラーグ准将は、王の従弟にあたられる。先王の第二王妃アスキス様の姉上ターニャ様の御子であられた。知ってるな?」
「ええ……」
ベラスは口ひげを撫でながら目を細めた。
「何も覚えてはいないのか?」
「いえ、……一瞬、私は死神を見たのかと」
アスベリアはばつが悪そうに口ごもった。気恥ずかしさに視線が泳いでしまう。
「ああ、それはペルノーズだ。やつが君を見つけて、ここまで連れて帰ってきたんだよ」
アスベリアは口に含んだ薬湯を噴出しそうになった。
「なん……ですって?」
「シラーグ准将と君たち護衛騎士が、我々がここに戻ってから一週間たっても帰還しないことで、上がいろいろと紛糾(ふんきゅう)したんだよ。コドリスが執拗に君らを追っているのではないか、どこかに幽閉されたのではないかとね」
「しかし、我々の役目はコドリス軍の目を引きつけることでしたから、当然だったのではないですか?」
「紛糾したのはそこではないんだ。シラーグ准将は、王の従弟にあたられる。先王の第二王妃アスキス様の姉上ターニャ様の御子であられた。知ってるな?」
「ええ……」
