――オレは生きてる?なぜだ、あの時死神の姿をオレは確かに見た。オレを迎えに来たはずではなかったのか。
アスベリアは、口をパクパクさせて必死に聞きだそうとしたが、ベラスには伝わらなかった。ただ、よくやった、よく帰って来たと繰り返し、やがて医師を呼びに部屋を出て行ってしまった。
それからの数日間は、寝台に寝かされ痛み止めの苦くて渋い薬湯を飲まされ、傷の手当をすることだけをしながら、ほとんどの時間を夢にまどろみながら過ごした。目が覚めると、傍らにはいつもベラスがチェス版を見つめて座っていた。
「もう安心でしょう。歳が若い分、治りも早い。ゆっくり養生されれば、歩けるようにもなりましょう」
医師は、アスベリアの脇腹の傷を手当しながら安堵の息を漏らした。
「ここに戻られたときは、それは酷い有様でしたからなあ。覚えておられるか?うわごとの様に女性の名を口にされておられた」
「色男はこれだからいかん。堅物だとばかり思っておったが、こやつも隅にはおけんな」
「なあに、若いうちはそのほうがよいのです。ナズラ様もそうだったではございませんか」
ベラスは面白そうに笑いながら医師と話をしている。
アスベリアは、口をパクパクさせて必死に聞きだそうとしたが、ベラスには伝わらなかった。ただ、よくやった、よく帰って来たと繰り返し、やがて医師を呼びに部屋を出て行ってしまった。
それからの数日間は、寝台に寝かされ痛み止めの苦くて渋い薬湯を飲まされ、傷の手当をすることだけをしながら、ほとんどの時間を夢にまどろみながら過ごした。目が覚めると、傍らにはいつもベラスがチェス版を見つめて座っていた。
「もう安心でしょう。歳が若い分、治りも早い。ゆっくり養生されれば、歩けるようにもなりましょう」
医師は、アスベリアの脇腹の傷を手当しながら安堵の息を漏らした。
「ここに戻られたときは、それは酷い有様でしたからなあ。覚えておられるか?うわごとの様に女性の名を口にされておられた」
「色男はこれだからいかん。堅物だとばかり思っておったが、こやつも隅にはおけんな」
「なあに、若いうちはそのほうがよいのです。ナズラ様もそうだったではございませんか」
ベラスは面白そうに笑いながら医師と話をしている。
