ジェフティ 約束

 目を開けると、見覚えのある天井がぼんやりと見えた。その次に音がアスベリアの耳に届く。雨の音だ。あの世でも、似たような光景があるものだ。
 ――雨も降るのか……。
「気がついたか?」
 聞き覚えのある声。誰だったか。
「ペルノーズが探し出してくれたんだぞ。わかるか?」
 ――誰だ?
「よくやった、アスベリア。よく戻ってきたな」
 ――何のことだ……。
 アスベリアはゆっくりと首を傾け、声の聞こえてくるほうへと視線を移した。
 ベラス=ナズラ上将軍。
「……なぜ」
 そう言ったつもりだったが、声にはならなかった。
「まだ声が出ないだろう。いいんだ、ゆっくり休め。もう大丈夫だから」
 これは夢ではないのか。全身に痛みが走る。