ジェフティ 約束

 シラーグがルーヤに一歩近づく。ルーヤはとっさにアスベリアの腕を掴む手に力をこめると、小さな声で呟いた。
「領主様が村長と一緒に決めたことなの。お金と引き換えに村を提供するって。ここは、シンパに一番近い村でしょ?だから……」
「反国家罪で村ごと糾弾される行為だぞ」
 ルーヤの瞳に涙が盛り上がってきた。
「だって、仕方がなかったの!畑からはろくな物が採れなくなって、最近は特に土が痩せてきてるの。みんな苦しんでたわ。それなのに、科せられた税は重くなる一方。こうするしか……、他に生活する手立てがなかったんだもの」
 ぽろりと、大粒の涙がルーヤの瞳から零れ落ちた。
 ――こうするしかない……か。
 確かにそうなのかもしれない。サンダバトナ周辺の穀倉地帯とは違い、元々作物の収穫量の少ない貧しい村だ。他のところと同じように税を課せられたら、貧困はますます進む。苦渋の選択だったのかもしれない。
「おい、娘よ」
「は、はい」
「私たちは腹が減っているんだ。何か持ってはいないか?」
 ルーヤは困った顔をしてうつむいた。