ディルーベスの一族の巫女として生まれるとすぐ、額に巫女の印、その子の運命の星を表す模様『ティリシャ』を彫られ、巫女としての教育が始まるのだとラルフは聞かされていた。
神に許された巫女だけが、神聖な力を持つといわれる宝石アメジストのような紫色に輝く神秘的な瞳と、まるで月光のように光りを放つ銀髪を持ち、その力と高貴さは一国の王ですら、その存在の前では膝を折り頭を垂れ祈りをささげるという。
「あれって、本当の話だったんだね」
「そうさ、ノベリアの王都の側に集落があったが……」
シモーヌの語尾が急ににごる。
その時、治療院の扉が大きな音を立てて開き、ダルクとノリスが飛び込むように入ってきた。
戸口からとたんに雨が室内に吹き込んでくる。外は相当激しく雨が降っているようだ。二人の吐く息が白い冷気のように漂い、冷えて青白くなった大きな手が強張っているのを見ただけで、外の気温が低いことがわかる。
「ダルク、ノリス、遅かったじゃないか。こっちに運んでおくれ。早く暖めないと」
神に許された巫女だけが、神聖な力を持つといわれる宝石アメジストのような紫色に輝く神秘的な瞳と、まるで月光のように光りを放つ銀髪を持ち、その力と高貴さは一国の王ですら、その存在の前では膝を折り頭を垂れ祈りをささげるという。
「あれって、本当の話だったんだね」
「そうさ、ノベリアの王都の側に集落があったが……」
シモーヌの語尾が急ににごる。
その時、治療院の扉が大きな音を立てて開き、ダルクとノリスが飛び込むように入ってきた。
戸口からとたんに雨が室内に吹き込んでくる。外は相当激しく雨が降っているようだ。二人の吐く息が白い冷気のように漂い、冷えて青白くなった大きな手が強張っているのを見ただけで、外の気温が低いことがわかる。
「ダルク、ノリス、遅かったじゃないか。こっちに運んでおくれ。早く暖めないと」
