ジェフティ 約束

 しかしテルテオの村人たちは、この平和な土地に血の匂いを持ち込んだと、英雄として帰郷したノリスを敬遠しているようだった。ノリスもそんな村人たちの気持ちを察してか、自分からあまり近寄ろうとはせず、畑を耕し、体の不自由になった老人の手伝いをしたり、村人の生活を陰でそっと支えて毎日を過ごしていた。
 背が高く、肩幅が広くて力持ち。挙句笑うと子供のように陽気で面倒見が良いため、いつもノリスの周りには子供たちの姿があり笑い声や歓声が絶えなかった。
 ラルフもこの叔父が大好きで、よく戦場での話をせがんだものだった。しかしその度に、ノリスは「血生臭い話しはしたくないし、お前にも聞かせたくないんだ。争いごとなんてお前が憧れるような格好のいいことじゃないんだぞ」と、よく苦笑しては言葉を濁して黙ってしまうのだ。