「優しい……、思い出なのですね」
本来ならば、相手も分からぬ敵に追われているかもしれないこの緊迫した状況なのに、エドは巫女姫の言葉に安らぎを感じていた。右も左も暗闇の、行く先も見失いそうな茫漠とした不安に満ちた世界に、空に輝く太陽のような光りを抱いている。そんな気持ちになるのだ。
ふと、巫女姫が両手を宙に差し出し、何かをそっとその手のひらの中へ包み込むようなしぐさを見せた。ひどく優しげな柔らかいしぐさで。両の手を握り締めたまま、自分の胸へと引き寄せ抱きしめた。
「何か、捕まえましたか?」
エドはその自然でさりげないしぐさに、一瞬そこに何かあったのかと、周囲に視線をやる。
巫女姫はそっと両手を広げ中を覗き見た。エドはそこに何も見ることはできなかったが、巫女姫の瞳にはきらきらと輝く不思議な光が写っていた。
「もうすぐ…、赤い星が落ちてくるの。真っ赤な血でできた、燃え盛る星が」
巫女姫の表情が、その美しく白い頬が苦痛に歪む。エドはそのあまりにも辛そうな表情を見て、咄嗟に腕に力を込め、自分の胸に巫女姫を抱き寄せた。
本来ならば、相手も分からぬ敵に追われているかもしれないこの緊迫した状況なのに、エドは巫女姫の言葉に安らぎを感じていた。右も左も暗闇の、行く先も見失いそうな茫漠とした不安に満ちた世界に、空に輝く太陽のような光りを抱いている。そんな気持ちになるのだ。
ふと、巫女姫が両手を宙に差し出し、何かをそっとその手のひらの中へ包み込むようなしぐさを見せた。ひどく優しげな柔らかいしぐさで。両の手を握り締めたまま、自分の胸へと引き寄せ抱きしめた。
「何か、捕まえましたか?」
エドはその自然でさりげないしぐさに、一瞬そこに何かあったのかと、周囲に視線をやる。
巫女姫はそっと両手を広げ中を覗き見た。エドはそこに何も見ることはできなかったが、巫女姫の瞳にはきらきらと輝く不思議な光が写っていた。
「もうすぐ…、赤い星が落ちてくるの。真っ赤な血でできた、燃え盛る星が」
巫女姫の表情が、その美しく白い頬が苦痛に歪む。エドはそのあまりにも辛そうな表情を見て、咄嗟に腕に力を込め、自分の胸に巫女姫を抱き寄せた。
