――あれも……、拭い去ることのできない罪を抱えている。それも……私とは違い、その罪は自分自身でしか、許されることはない。できれば、その行く末を見守ってやりたいが。
エドが見上げた夜空は、今や満点の星が輝くビロードのような暖かさで、エドの心をそっと包み込むのだった。
「……泣いているのですか?」
その声にはっと我に返り腕の中を覗き込むと、巫女姫の悲しそうな双眸が、暗闇で月の光を吸収して光り、エドを見つめていた。エドは手綱から手を離し、そっと自分の頬を拭ってみたが、涙は流れていなかった。
「いえ、泣いてはおりませんよ、姫」
エドはひどく優しげな笑みを巫女姫に向ける。
「なんだか、とても悲しい気持ちを感じたから。でも悲しみを包むように幸せが広がっていて……」
巫女姫はぽそりとつぶやく。エドは小さな体を抱く腕に少し力を込めた。
「あなたの温もりで思い出していたのです。悲しい出来事でしたが、私にとっては暖かい幸せな思い出だ。振り返れば、思い出というものはそういうものではないですか?……ああ、あなたにはまだ早すぎたようだ……」
話している相手が、まだ自分の人生の五分の一ほどしか生きていない少女だと気がついて、エドは苦笑する。アスベリアのマントをすっぽりとかぶっているため表情はよく分からないのだが、巫女姫には人の気持ちを感じる能力があるらしい。
エドが見上げた夜空は、今や満点の星が輝くビロードのような暖かさで、エドの心をそっと包み込むのだった。
「……泣いているのですか?」
その声にはっと我に返り腕の中を覗き込むと、巫女姫の悲しそうな双眸が、暗闇で月の光を吸収して光り、エドを見つめていた。エドは手綱から手を離し、そっと自分の頬を拭ってみたが、涙は流れていなかった。
「いえ、泣いてはおりませんよ、姫」
エドはひどく優しげな笑みを巫女姫に向ける。
「なんだか、とても悲しい気持ちを感じたから。でも悲しみを包むように幸せが広がっていて……」
巫女姫はぽそりとつぶやく。エドは小さな体を抱く腕に少し力を込めた。
「あなたの温もりで思い出していたのです。悲しい出来事でしたが、私にとっては暖かい幸せな思い出だ。振り返れば、思い出というものはそういうものではないですか?……ああ、あなたにはまだ早すぎたようだ……」
話している相手が、まだ自分の人生の五分の一ほどしか生きていない少女だと気がついて、エドは苦笑する。アスベリアのマントをすっぽりとかぶっているため表情はよく分からないのだが、巫女姫には人の気持ちを感じる能力があるらしい。
