ジェフティ 約束

 シェアナが育てていた畑に、実りの穂が金色に色づいた頃、エドは少年の姿へと成長した子供をつれてその地を離れた。今、その時の少年は立派に成長し、オルバーで教師をしている。
 エドと同じ軍人としての道を選ばなかったことを、エドは深く神に感謝し、仕事を紹介して尽力を尽くしてくれたアスベリアに対して厚謝の念でいっぱいだった。
 奪い奪われる戦場に赴くことはなく、これからの時代を担う子供たちに明日を教える事を選んだ息子を、エドは誇りに思っていた。
 その息子が、娘が生まれたと息を切らしてエドの元へとやってきたのをつい昨日のことのように思い出す。小さな重みをあの日腕に抱いて、どんなに嬉しかったことか。
 今、こうして再び、柔らかで暖かな重みを腕に感じていると、今まで過ぎ去った時を思い出すことができる。
 ――ああ、私はシェアナにあんな寂しい思いをさせてしまったというのに、なんと幸せなのだろうか。
 その息子と同じ歳のアスベリア。
 エドにとっては自分と同じ道を歩み、同じ苦しみを背負う彼をもう一人の息子のように思っていた。