ジェフティ 約束

「貴公がアスベリア=ベルン殿か」
 男は馬から降りようともせずアスベリアに馬を寄せると、悠然とその上から見下ろし、値踏みするかのように黙って眺めていた。
 そうこうする内、その口元に侮蔑の笑みを浮かべ、生白い指先をその唇に当てるしぐさをした。まるで爬虫類のような細い目をした奴だ。アスベリアは眉根を寄せる。
 アスベリアが眉をひそめたのを、なぜか男は満足そうに見つめると、その瞳同様薄っぺらい唇の片端をくいっと上げ、馬車が消えた方向に顎をしゃくった。
「その粗末な身なりでは、とてもナーテ様にはお目通りできまいが?」
「は?」
 アスベリアは絶句する。
 ――なんだと?粗末な身なりだぁ?
「その身なりを正し、すぐにナーテ様のもとへ参られよ。主公がお待ちである」