「大丈夫。お母さんは、今父さんが探しに行った。後から来るよ。俺たちは先に村に行って待ってよう」
少女は微かにうなずくと、ラルフの胸に顔をうずめるように身を丸めた。
ラルフが腕に少し力を込めただけで、少女はふわりと持ち上がった。腕に伝わる小さく細い肩に、自分とはまったく違う生き物にはじめて触れたような気がしてどきどきする。ラルフは生まれて初めて沸き起こった胸の高鳴りに、戸惑いと言い知れぬ高揚感に満たされていた。
村へと続く獣道へと出るまでに、ラルフは少し迂回をしなくてはなからなかった。いくら軽い少女とはいえ、両手に抱えていては大きな倒木を乗り越えることは困難だったからだ。
マントを脱いでいるラルフの体が、急激に冷えていくのがわかる。さらに両手が使えないため、下草や頭上の枝を払うことができず、それらが鞭のようにしなり、容赦なくラルフの額や頬を叩いた。そのたびにラルフは少女を覗き込み、少女に怪我はなかったか確かめる。
「もう少しだから……」
獣道を下りヘロデヤの森を出て、テルテオの集落の小さな屋根が見えてきた頃、とうとう空がこらえることができなくなってきたのか、ポツリポツリと雨に混じって白く重たいものが混じり始めた。
「急がないといけないな」
ラルフは、白い煙がするすると立ち上る煙突の付いた家を目指し、小走りに山道を下りはじめた。
少女は微かにうなずくと、ラルフの胸に顔をうずめるように身を丸めた。
ラルフが腕に少し力を込めただけで、少女はふわりと持ち上がった。腕に伝わる小さく細い肩に、自分とはまったく違う生き物にはじめて触れたような気がしてどきどきする。ラルフは生まれて初めて沸き起こった胸の高鳴りに、戸惑いと言い知れぬ高揚感に満たされていた。
村へと続く獣道へと出るまでに、ラルフは少し迂回をしなくてはなからなかった。いくら軽い少女とはいえ、両手に抱えていては大きな倒木を乗り越えることは困難だったからだ。
マントを脱いでいるラルフの体が、急激に冷えていくのがわかる。さらに両手が使えないため、下草や頭上の枝を払うことができず、それらが鞭のようにしなり、容赦なくラルフの額や頬を叩いた。そのたびにラルフは少女を覗き込み、少女に怪我はなかったか確かめる。
「もう少しだから……」
獣道を下りヘロデヤの森を出て、テルテオの集落の小さな屋根が見えてきた頃、とうとう空がこらえることができなくなってきたのか、ポツリポツリと雨に混じって白く重たいものが混じり始めた。
「急がないといけないな」
ラルフは、白い煙がするすると立ち上る煙突の付いた家を目指し、小走りに山道を下りはじめた。
