ジェフティ 約束

 賑やかな夕食。ラルフはこんな楽しい夕食をとっていていいのだろうかと、シェシルに対して罪悪感でいっぱいになった。
「インサの言うとおりすごく旨いけど、俺……金なんか持ってないぞ」
 こんなご馳走にありつけるなんて思ってもいなかった。料理を頬張りながら、しかし心配になってインサに聞いてみる。
「気にすんなよ、ラルフ。これはマスターのおごりなんだ。あそこのカウンターの女の子」
 インサがフォークでちょいっとそちらの方向を示す。長い髪を可愛く結い上げたそばかす顔の少女が、焼きたてのパンをかごに盛っている。
「メリアンはマスターの娘なんだけどよ、よく注文をきき間違えるんだ。それでこうやって料理が余るってわけ。まあ、店が閉まったら店とキッチンの掃除を手伝って恩返しするけどな」
 今日はお前も手伝えよとインサは続けた。
「そうなんだ」
 それにしても、マスターはとてもいい人なんだろうな。