ジェフティ 約束

 二人が、きのこと木の実を大方食べつくしたちょうどその頃、二人がいる森の中にはとうとう日の光が届かなくなった。辺りは昼と夜の境目を向かえ、森の住民たちも様変わりする。
 指先も見えないほどの暗闇が、ひたひたと二人の周囲に忍び寄ってきた。その暗闇の触手から身を守るように、シェシルはラルフの体を抱き寄せる。
 暖かなぬくもりがシェシルの肌から伝わってきた。その気持ちよさに体をゆだねながら、ラルフは森の音に耳を澄ます。森の夜の住民たちは、ラルフとシェシルを見ながら、お互いになにやら話をしているのだろうと想像した。かさこそと小動物が木の幹を駆け上がっていく。夜行性の鳥がホゥーホゥーと鳴いて仲間たちに、ラルフたちの存在を連絡しあっている。
 その音に混じり、すぐ傍からシェシルの呼吸音が、規則正しく聞こえてきた。ラルフは目を閉じる。すぐに深い眠りがラルフの体を包み込んだ。