シェシルの流れるような動きが美しかった。
振り上げたときの、一歩前に踏み出した足に体重を乗せる一連の動作も、手首を返して次の動きに移る瞬間も。剣はフウーン・フワーンと不思議な音を立てて、刃はその刹那、真っ白に輝いた。
ラルフは一瞬で我を忘れ、そのすべてに見入っていた。あまりの美しさに声も出ない。
――この動きは……、鎮魂の舞だ。
ラルフは、シェシルが亡くなった者の魂を沈める舞を舞っている事に気が付いた。
テルテオの村でも一年に一度、夏の終わり頃にこの舞が披露される日がある。村で一番の剣の使い手が、仮面をつけ飾りの付いた儀式用の刀剣で祈りを込めて舞うのだ。亡くなった者の魂が山の頂上へと無事にたどり着けるよう、追い風を起こすために。
その舞を、今、目の前で見ている。舞に合わせて奏でる音楽も手拍子も、舞い手を讃える花吹雪も何もない。ただ静かに、空を切る刃の鳴りと、シェシルのマントがひるがえる音、砂を踏みしめる足音がただその空間を占めている。
振り上げたときの、一歩前に踏み出した足に体重を乗せる一連の動作も、手首を返して次の動きに移る瞬間も。剣はフウーン・フワーンと不思議な音を立てて、刃はその刹那、真っ白に輝いた。
ラルフは一瞬で我を忘れ、そのすべてに見入っていた。あまりの美しさに声も出ない。
――この動きは……、鎮魂の舞だ。
ラルフは、シェシルが亡くなった者の魂を沈める舞を舞っている事に気が付いた。
テルテオの村でも一年に一度、夏の終わり頃にこの舞が披露される日がある。村で一番の剣の使い手が、仮面をつけ飾りの付いた儀式用の刀剣で祈りを込めて舞うのだ。亡くなった者の魂が山の頂上へと無事にたどり着けるよう、追い風を起こすために。
その舞を、今、目の前で見ている。舞に合わせて奏でる音楽も手拍子も、舞い手を讃える花吹雪も何もない。ただ静かに、空を切る刃の鳴りと、シェシルのマントがひるがえる音、砂を踏みしめる足音がただその空間を占めている。
