ジェフティ 約束

 シェシルは、長剣の刃に手のひらを添えて剣先を上にして構える。そして次の瞬間、波のような模様の浮いた刃をするっとなでたかと思うと、まるでそれが羽ペンかのように軽く手の中で、ふわんとまわしてみせた。
 そのまま柄を両手で握りなおすと、下から上にすくい上げるように振り上げた。足元の砂がぱっと舞い上がりラルフの頬に風圧が届いた。
 最も高い位置から手首を返して横薙ぎにし、空を切り裂く動作が連続して続く。
 体の動きや回転に軽やかにひるがえるマント、刃が閃光を放ち真っ白な尾を引く残像。
 そのなかで揺らめく高潔な光をたたえたアメジストの瞳の輝き。シルバーグレーの短い髪がフードから溢れ出てさらさらと光をまとう。
 シェシルが握り締めた長剣は、最後に自分の目の横まで持ち上げて突きの構えで止まった。