秋はドライブ。



運転好きなお父さんは、あたしとお母さんを乗せて、何処までも何処までも連れていってくれた。



すすき畑では、あたしの身長よりも高いすすきがお父さんとお母さんの姿を隠して。


大きな声で二人を呼んだら、視界が一気に開けた。




お父さんが、肩車をしてくれたよね。



お父さんの目線よりも高く、ずっとずっと高く。




風を感じた。


すすきが揺れた。



すすき畑の向こうには、真っ赤な山が見えた。




あたしの世界は広がったの。




「のんチャン、お父さん」


お母さんがそう呼ぶと、お父さんは振り返って。



カシャ



お父さんに肩車をしてもらいながら、すすきの海にいるあたし。


遠くには、太陽みたいに赤い山。



写真を撮った後の、お母さんの幸せそうな顔、忘れない。