「のん達さぁ、バカップル過ぎでしょう」

結夢はブラックコーヒーの入ったカップで手を温めながら、溜め息と一緒にそんな言葉を吐いた。

その姿が、このレトロでお洒落な喫茶店にすごく合っていた。


さすが美人様。

コーヒーもブラックですか。


あたしはと言うと、結夢の溜め息混じりの言葉も聞き流す程、初めて来た、この大人な雰囲気の喫茶店に居心地の悪さを感じていた。


あたしが飲んでるのなんてオレンジジュースだし。


カラカラとストローで、オレンジジュースと氷を掻き混ぜる。


「聞いてんの?教室に居ても昼休みののんの声、煩いくらい聞こえたんだから」

結夢の言ってる『昼休みの煩い声』ってのは、あたしが誠に叫んだ、愛の告白の声。

「もうその話やめようよぅ。我に返った時、あたしだって恥ずかしかったんだから」


あの後トイレで泣いてスッキリした後、ふと我に返り、恥ずかしさのあまり5限目をサボってしまった。

6限目の授業を受ける為に教室に戻ると、みんなに散々からかわれた。


もう恥ずかしくて恥ずかしくて、まさに穴があったら入りたかった!

てかむしろ穴を掘りたかった!