あたしは深く息を吸い込んだ。 「バカ殿ーー!好きだよー!!」 俯せで廊下で寝転んでいた誠は勢い良く上半身を起こした。 そして顔を赤くさせ、呆気に取られている。 あたしはその顔が可笑しくて、愛しくて。 「バーーカ!!」 もう一度大きな声で叫び、トイレへ駆け足で向かった。 好きなのに、大好きなのに…… 大好きな人を傷付けてばかりの自分が不甲斐なくて、 大好きな人を裏切った自分に腹が立って、 そんなごちゃごちゃな気持ちから溢れた涙が、見られないように……。