「こんなんじゃ何処にも遊びに行けないじゃん」 「ヒナはホントに冬がキライだよな」 遠くにある雪の山を見つめながら低い声がそう言う。 氷点下近い温度の中、私の左手をギュッと握り、体温を分けてくれている人物。 私の隣で一緒に歩いている、長身で、今時系の男子。 全てが完璧で文句なしの私の彼氏。 ──杉谷 ヒカル。