彼氏の余命を知ってる彼女。



…ここは何も変わらないんじゃな…。


辺りを見渡してそう静かに呟く。


数秒、何もない天を見上げていると、後ろから温かい風が吹いた。


その風は何故か心地良くて──、


「…あら…」


目から無意識に涙が溢れ出すような優しい風だった。


私はゆっくり風の吹いた方へ振り向いた。