犬と猫…ときどき、君



「マコと篠崎君って、付き合ってるの?」

「は?」

電気を点けたままだったバンガローに入ってすぐ、そんな質問を投げかけた私に、春希が眉を寄せて振り返った。


「だって、さっき春希が……」

“ヤッてたら”って言ったから――そう続けたかったけど、あまりにも露骨すぎるその表現に、ついつい口籠る。

マコからは何も聞いてなかったから、正直ビックリしたんだもん。


「ん? あぁ、はいはい。ヤッてるどうこうね」

私の表情を読んだ春希が、口にしなくてもいいその言葉を再び口にする。


「付き合ってねぇだろ」

「……マコと篠崎君って、そういう関係?」

そうだとしたら、ちょっとショック。


「“そういう関係”って?」

「だから……カラダの?」

見上げながらオズオズとそんな言葉を口にした私を見て、春希一瞬目を大きくする。


「ちげーよ」

「……違うの?」

「おー。篠崎は椎名のこと、昔から好きみたいだけど」

「へぇ……」

篠崎君、そうなんだ。

マコの事――……。


「えっ!?」

「あ?」

「し、篠崎君って、そうなの!?」

何となく、仲良いなぁとは思ってたけど……。


「見るからにそうだろ。“マコちん”“マコちん”って、うるせぇし」

そんな事を言いながら、春希は“くくくっ”と、下を向いて楽しそうに笑っている。


「マコ……どうなんだろ」

「さぁ?」

「そんな二人を、一緒の部屋にして平気なの?」

「……」

「え?」

私のマコの身を案じる言葉を聞いた春希が、私の目をじっと見据えて、いたずらっ子のように笑いながら、ゆっくりと口を開いた。


「椎名の心配より、自分の心配したら?」

「……っ」

その瞬間、蛇に睨まれたカエルみたいに固まった体。