犬と猫…ときどき、君



「はぁー……。甘ったれてるなぁ」

部屋に入った私の口から零れた言葉と、大きな溜め息。


――だけど次の瞬間。


「……春希っ!!」

私は部屋を飛び出して、さっきよりも小さくなったその背中に、大きな声で呼びかけた。

そのままゆっくりと振り返った春希の元へ駆け寄る。


「どうした?」

「……これ」

少し驚いた様子で首を傾げた春希の目の前に、私が差し出したのは一枚の紙切れ。


「……」

それを受け取って、一通り目を通した春希の口から、大きな溜め息と共について出たのは、

「アホかあいつらは……」

呆れたような、そんな言葉。


――部屋に戻ってすぐ、目につく所に置いてあった、一枚の紙切れ。


それは、どうしようもなくふざけた人達による……どうしようもなくふざけた手紙だった。