「じゃー……おやすみ」
「うん」
ゆっくり歩きながら星座観察をして、到着したバンガローの前で、春希が私を見下ろして笑った。
さっきは“部屋に戻ってから”なんて言ってたけど。
まだ戻っていないマコが、いつ帰ってくるかもわからない部屋で――しかも、こんなみんながいる“合宿”で、そんなコトをするのはダメというか、不可能というか……。
とにかく無理だって事はわかっていた。
「おやすみ」
別に焦る必要もないし、焦ってもいないんだけど、ちょっと淋しいという気持ちがないわけでもない。
その私の気持ちに気付いてか、少し困ったような笑顔を浮かべた春希は、ふわりと私の頭を撫でると、
「誘うなよ」
そんな言葉を口にしながら、人のおでこをベシッと叩く。
それからもう一度“おやすみ”と声をかけると、自分のバンガローに向かって歩き出した。

