犬と猫…ときどき、君


「余裕ねーなぁ、俺」

自嘲的に笑う春希に、私はきちんと自分の気持ちを伝えないといけない。


「違う」

「……え?」

「違うの。……ビックリしたの」

「うん。ごめん」

「ううん。そうじゃなくて」

「え?」


そうじゃない。

驚いたのは――……。


「どうすればいいのか、わからなくなるくらい嬉しくて、」

「……」

「気持ちよくて……」

「……っ」


だから、謝らないで。


「春希の事、大好きなんだもん。好きすぎて、バカばかみたいに泣けてくる」

私のその言葉に“何だよもー”なんて言いながらも、嬉しそうに笑った春希。

その笑顔も、やっぱり好き。


「きっとね?」

「あー?」

「こういうのを“心が震える”って言うんだと思う」

鼻を啜りながら鼻声で話す私に、春希は“ふはっ”と笑う。


「俺もちょっと泣きそうだった。あれだけで、嬉しくて、幸せで」

「……うん」

優しい口調で、だけど少し恥ずかしそうにそんな言葉を囁いた春希だったけど……。

次の瞬間、その表情をコロッと変えて、ニヤリと笑いながら言ったんだ。


「さすがに野外はアレなんで、もう少し星見たら部屋戻りますか」

「え?」

「続きは、部屋に戻ってから」

「……っ」