「ううん。あとでにする」
綺麗な瞳を見上げながら、携帯をパタンと閉じた私の顔をジーッと見つめて、
「そろそろ帰ろ」
少し困ったように笑った城戸春希は、そんな言葉を落とした。
「え?」
突然の提案に少し困惑して、小さく声が漏れてしまう。
何で……急に?
眉間にシワを寄せた私を見て、また困ったように笑った彼は「シワ寄せんな!」と、人の眉間をグーッと伸ばし、来た道を、来た時と同じように手を繋いで歩き出した。
テクテク、テクテクと。
少し先を歩く城戸春希は、一度も私を振り返らない。
「ねぇ」
「あー?」
「どうしたの?」
「……何が?」
「何か変じゃない?」
そう呼びかけても、やっぱり彼は振り返らない。
「ねぇってば」
「別に変じゃねぇーよ」
それから何度か話しかけてみたものの、城戸春希の反応が変わる事はなかった。

