「やっぱり、変な女」
私の頬に手を添えたまま、困ったように笑う城戸春希を見上げ、私もゆっくりと口を開く。
「そうかな?」
「おー」
「……」
「……」
ほら。
こんな沈黙だって、あなたとなら全然イヤじゃないんだよ?
まるで私の心を読んだかのように、驚くほど優しく笑った城戸春希。
「だから“懐くな”って言ったのに」
そんな言葉と共に、頬に触れていた手で、ゆっくりと後ろに梳かれた私の髪。
優しく触れるその指にゾクリとして、またほんの少し、鳥肌が立った。
「ごめん」
私が小さくそう呟いた瞬間、城戸春希は――……
後頭部まで回した手にグッと力を込めて、倒れ込んだ私をギュッとその腕の中に閉じ込めたんだ。
「別に謝らんでも」
「いや、だって」
「……」
「……ふっ」
「笑うなよ」
あなたの腕の中は、すごく温かくて、耳を寄せる胸元からは少し速い心臓の音。
「城戸君だって、笑ってんじゃん!」
「だってお前、変なこと言うんだもん」
「変な事って何ー?」
「“ごめん”とか」
「だって、城戸君が懐くなって言ってたから。しかもその後だって――」
「あーはいはい。ったくもー、ホントにムードとかないよな」
それはお互い様でしょう。
「んー、でも……」
そこまで口にした私は、自分の腕をゆっくり伸ばし城戸春希の背中にそれを回した。

