犬と猫…ときどき、君


次の週の木曜日。

朝目を覚ますと、相変わらずの偏頭痛に襲われたけれど、そんなの気にしていられない。

さっさとシャワーを浴びた俺は、軽めの朝食をキリキリと痛む胃に押し込んで家を出た。


「車どこ停めるかなぁ……」

向かった先は横山先生の家なんだけど、そこは病院のすぐ近く。

別に大丈夫だとは思うけど、休みの日にその駐車場に車を停めていて、スタッフの誰かに見られて何かを聞かれるのも微妙に困るし。


そのまま先生の家の前を通りすぎ、少し離れたコインパーキングに車を入れた俺は、ゆっくりと瞳を閉じて深呼吸をした。


「よし!」

今更迷っても仕方がない。

いつまでも、こうしているワケにはいかないんだ。


横山先生の家はすごく可愛らしい家で、童話の挿絵にでも出てきそうな、白壁の洋風の家。


玄関の前にはたくさんの植木と花が植えてあって、植物に詳しくない俺でさえ、それが大事に育てられているのだと分るほど。


奥さんの趣味らしいその家を、先生はよく“恥ずかしくて嫌なんだ。だって、少女趣味だろう?”なんて言ってたけど……。

言葉とは裏腹なその幸せそうな表情に、いつもこっちまで温かい気持ちになっていたっけ。


その花のプランターの間に伸びる白いタイルの道を進み、玄関の前で立ち止まった俺は、ゆっくりと息を吐き出した。


きっと横山先生なら、分かってくれる。

――でも……。


何度も繰り返す自問自答に小さく頭を振った。

もういい加減にしろ。

そう自分に言い聞かせて、ドアの横にあるインターホンに手を伸ばした。