温かい手の平から伝わる体温が、私の心までじんわりと温めていく。
「城戸君、手温かいね」
照れ隠しで口にした言葉にスッと視線を落として、楽しそうに笑った城戸春希は、
「手ぇ温かいけど、心も温かいから安心していいぞ」
そんな、よくわからない言葉を落とす。
――安心。
安心なら、もう十分すぎる程していると思う。
「ねー……」
「んー?」
「城戸君の好きなタイプの女の子って、どんな子?」
「は?」
――あ。
つい口にしてしまったその内容は、どう考えても唐突に思えるもの。
「あっ!! ち、違うの!!」
「“違う”って?」
「えっと……ほら! さっきそんな感じの話してたじゃん」
「あぁ」
慌てる私とは対照的に、城戸春希はいつもと変わらない様子で上を向くと、少し考え込む素振りをみせる。
何でこのタイミングで、こんなこと聞いてしまったのだろう。
思い立ったら吉日な自分の思考が、ちょっと恨めしい。
それでもやっぱり気になって……。
上を向いたままの彼の横顔をじっと見上げながら、一人ドキドキしてしまう。
――それなのに。
「着いた」
「え?」
ポツリと呟かれたその言葉の意味が、一瞬理解出来なくて。
けれど彼の視線を辿りながら周りを見回して、気がついた時には、自分の口から驚嘆の溜め息がこぼれ落ちていた。
「す……ごい」
「だろー?」
隣の城戸春希は、勝ち誇ったように笑っている。
「……うん、すごい」
着いた先は、小高い丘の頂上だった。
360度、ううん。
周りだけじゃなく、頭の上も全部全部、綺麗な星空。
「キレー……」
ただ呆然と、そのあまりにも綺麗すぎる景色を眺める私の横からクスッという笑い声が聞こえた。
もちろん、笑いの主は城戸春希しかいないのだけれど。
「え……? なに?」
「くち」
「“くち”?」
「口、開いてる」
一瞬意味がわからず目を瞬かせた私を見て、片方の眉を上げた彼が“くくくっ”と楽しそうに笑う。

