犬と猫…ときどき、君



“祖父江ちゃん”おススメの店でメシを食った帰り道、ホテルの近くのコンビニの前で、胡桃が突然立ち止まった。


「どした?」

「ごめん、先戻ってて! ちょっと買いたい物あって」

「……別に待ってるけど」

急いでるワケでもないし、部屋に戻ってもする事ねぇし。


だけど目の前の胡桃は、少し困ったように笑って、「女の子には色々あるのー」と、よく分からない言葉を口にして、半ば強制的に俺をその場から追い払った。


「女の子ねぇー……」


ポツリと呟きながら、ゆっくり歩き出すと、二人になるのを避けてるだけかもなぁなんて、マイナスの考えが頭を過る。


そうだとしても、そんな状況を作ったのは俺自身だから、ショックを受けるってのはお門違いなんだけど。


「はぁー……。しんど」


溜め息を吐きながらフロントでカギを受け取った俺は、そのまま部屋に戻ると、ベランダに出て煙草に火をつけた。


揺れる煙を眺めていると、頭がボーっとしてきて、小さく頭を振ったあと、その火を消して部屋に戻る。


何だかんだで、十五分以上は外にいたはずなのに、まだ部屋に胡桃の姿はない。


店からコンビニまでの道でも、ガラの悪い連中と何度かすれ違ったし、治安がいいとは決して言えない。


「やっぱ待ってりゃよかった」

胡桃だって大人なんだから、大丈夫だろうけど、でも心配になるに決まってる。


「……あー、くそっ!!」

しかも、携帯にも出ねぇし。

二人きりになるのを避けてるんだとしても、それで胡桃に何かあったら話にならない。


頭をガシガシと掻きむしった俺は、一旦はサイドテーブルに置いたカギを再び手に持って、部屋を出た。