「じゃー、一個だけ答えて?」
城戸……?
「今野が置いて行った箱と、俺が置いたこの箱」
「……」
「どっちかしか受け取れないとしたら、胡桃はどっちを受け取る?」
なに……それ。
どういう意味?
それに、その箱は?
城戸の行動の意味も、その言葉の意味も分からなくて。
私は戸惑いながら、机の上に落としていた視線を城戸に向け、頭を小さく横に振る。
それを、何かの答えだと思ったのか。
次の瞬間、城戸が少し悲しそうに笑って、言ったんだ。
「俺達少し、距離を置いた方がいいのかもな」
ワケが分からなかった。
答えなんて、出したつもりはなかったし、出せるはずもなかった。
一瞬“ヒュッ”っという、変な音を立てて止まった呼吸がまた元に戻った時、ひどい頭痛がして。
それに目の前の景色が歪んで、眩暈もする。
「今野には、俺がちゃんと事情を話すから。心配すんな」
冷たくなった手の平を、痛む額に当てる私に、城戸は困ったように笑って、そう言った。
そして、何も言えないでいる私の髪をゆっくりと撫でたあと――。
「それ、やるよ」
そんな言葉を残して、自分のカバンを掴むと、医局を出て行ったんだ。

