今野先生への気持ちが“友達”からそれ以上に変わる兆しは、今のところ無くて……。
今野先生も特に何も言ってこないから、少し油断していたんだ。
「で、行くの?」
「どこに?」
「メシ、誘われてんだろ?」
何故かそんな詳しい事まで知っている城戸に、私は困惑の表情を向けながら口を開いく。
「誘われてるけど」
「“けど”?」
「行くかはまだ分かんない。だって、何か申し訳ないし」
これじゃーきっと、何に対して申し訳ないと思っているかなんて伝わらない。
ずるい私は、わざとそんな喋り方をした。
だって何となく、これ以上、城戸と今野先生の話はしたくなかったから。
「ふーん」
「城戸は?」
「あー?」
「誕生日、松元さんとどっか行くの?」
城戸との想い出を忘れようと決めたあの日から、私はこうして、時々松元さんの名前を口に出す。
「……さぁ」
「ふーん」
相変わらず城戸は何も話してくれないけど、これでいいんだ。
これは、自分への警告。
城戸に甘えてしまわないようにする為の警告――……。

