犬と猫…ときどき、君


それから聡君に電話を入れ、城戸と二人で出掛ける事を告げた私は、一応お化粧を直して城戸と一緒にホテルを出た。


「場所わかるの?」

「おー。俺がさっき予約したから」

「そうなんだ」

ポツリとそう呟いて、ゆっくり空を見上げる。

だけど、明るいネオンのせいで、強い光を放つ星しか確認出来なくて……。


「……」

何となく、星が見えない場所に来ると不安になる、もうすっかり田舎娘な私。


星、見たかったなぁ。


そんな事を考えていた私の少し上の所から、まるで、独り言のような城戸の言葉が聞こえた。


「星見えねぇなー」

「え?」

「同じ星なのに、何となくそこの土地に行ったら、そこの星、見たくならねぇ?」

子供みたいに、楽しそうに言った城戸は、その黒い瞳に私を映す。


「……子供ー」

「まだ言いやがるか。大体さ、俺の方が年上なんですけど。まぁ、二日だけだけど」


なんで覚えてるかなぁ……。


「――って、俺の誕生日なんて覚えてないか」

小さく笑った城戸のその横顔に、胸が小さな音を立てた。


別に隠す事じゃないし、いいよね?


「……覚えてる」

不貞腐れたように唇を尖らせた私に、城戸は一瞬その表情を緩ませるから。

「……っ」

私はつい、その細められた瞳から視線を逸らしてしまう。


だけど、そんな私を見下ろしたまま、フッと笑って。

「着いた」

城戸はまるで何事もなかったかのように、大通り沿いのその建物を指さした。


「ここ?」

「おー。何で?」

「いや、随分厳《おごそ》かと言うか、何と言うか……。居酒屋とかかと思ってたから」


城戸が指さしたのは、瓦屋根の日本家屋みたいなお店で、そのチョイスがちょっと意外。


「ふーん」

――“ふーん”って。

あまりの城戸の反応の薄さに、軽く拍子抜けしながらも、私は城戸に続いてその和風の門を潜った。