だけど次の瞬間、私の耳に届いたのは――……。
「いや、お前も一緒に行かねぇかって話な? つーか、お前に会いたいらしい」
城戸のそんな言葉だった。
「は?」
――何で、私?
思わず寄ってしまった、眉間の皺。
「どっかでお前の話聞いたんだとー。“美人院長”って」
そう言って、今度は楽しそうに笑う。
「えぇー……。サイアク。そんなの言われたら行けないじゃん」
「何で?」
「だって、行って“期待外れ”とか思われるの目に見えてるし」
わざわざ品定めされに行くなんて、絶対に嫌でしょ。
「あー、それは平気」
「へ? 何で?」
「ブスだぞって言ってあるから」
「はぁっ!?」
なんだとーーっ!!
「そしたら、“それは残念ー。でも、将来の為に開業の事色々聞きたいから、是非”だって」
「……」
「いいヤツだよ。どうする?」
「いや、その前に謝ろう?」
「へっ?」
「あなた、人のことブス呼ばわりしたんですよ?」
私の怨念混じりのその言葉に、笑いながら“わりぃ!”なんて言った城戸は、「行こ。一人にすんの、心配だし」と優しい声で付け足したんだ。
「わかった。行く……」
「了解。じゃー、準備終わったら連絡して」
行くのを決めたのは、城戸の出した優しい声のせいでは、断じてない。
ただ、志が高い獣医さんと話すのは、嫌いじゃないし。
それに……。
私が知らない城戸の二年間を聞いてみたいって、少しだけそう思ったから。

