ホテルに着くと、チェックインを済ませて、ひとまず各々の部屋に入った。
「はぁ……」
久々に飛行機に乗ったせいか、まだ体がフワフワして、何だか気持ちが悪い。
「むぅー、水ー……」
ベッドに寝ころんだまま、ゴロゴロとだらしなく転がって、そこから冷蔵庫に手を伸ばす。
午前中の診療を済ませてからこっちに向かったから、何気にちょっと疲れているのかも。
カチカチとその蓋をねじ開けて冷たい水を喉に流し込むと、一気に体が冷えて、少し気持ちがいい。
「……」
腕の時計に目をやると、時間は夕方の六時前を指していてる。
「聡君、もうそろそろ行くのかな?」
ムクリと起き上がり、聡君に電話をしてみようと携帯を取り出した瞬間、
「――あれ?」
手の中の携帯が、低い音を立てながら、震え出した。
『……』
開いた画面には【着信中 城戸春希】の文字。
何だろう。
小さく首を傾げながら、私は通話ボタンを押した。
「もしもし?」
「おー、今平気?」
いつもより、少しだけ低く聞こえるその声。
「うん。どうしたの?」
「いや、あのさー……さっき、前の病院の同期から電話きてさ」
「“前の”って、城戸が前に勤めてたとこ?」
「そうそう」
……ふーん。
「で、何だって?」
「同じセミナーに出るのに、こっちにいるらしいんだよ」
何故か歯切れ悪くそう口にした城戸は、少し間を取って。
「一緒にメシ食わねーかって」
溜め息混じりに、そう言った。
そっか。
まぁ、そうなるよね。
「わかったー。いいよ!」
「え?」
「行っといでよ!」
「は?」
「ん? だから、行ってきなよ! 私何か適当に食べるし」
子供じゃないんだから、一人でも別に平気ですよ。

