犬と猫…ときどき、君


「米原さん、こちらに同意書があります」

「……」

「お嬢さんは、きちんとご家族に連絡を入れた上で、こちらにサインをされたはずです」

「そ、そんな事はどうでもいいんだよ!! だいたい、なんで一回目に来た時にちゃんと手術をしなかったんだ!!」

「私も最初にいらした時に立ち会っていましたが、その時点で芹沢は、きちんと“オペをしないと助からない”と、伝えました」

「……」

「私達は、手術を強要する事は出来ません。判断は、オーナーさんに委ねるしかないんです」

「……っ」

「ハナちゃんを助けられなかった事は、本当に残念です。ですが、芹沢に非はありません。もちろん、こちらの処置にもです」


城戸の言葉に、静まり返るお会計前のそのスペース。


「一週間以内ならいつでも結構です。お支払いをお願い出来ますか?」

「……分かりました」


渋々とそう口にした米原さんに、処置代と支払期日を説明した城戸は、足早に去って行く米原さんを駐車場まで送ると、まだ開いている後部座席に横たわるハナちゃんの頭を、そっと撫でた。


城戸だって、ハナちゃんに最初の時点でオペを受けさせられなかった事を悔やんでいるはずなのに……。

瞳に映る城戸の姿に、涙が頬を伝い落ちる。


私は、本当にバカだ。

城戸の気持ちよりも、自分が傷付かない方を選んでしまったんだから……。


「胡桃?」

「ごめんね、聡君」

「……」

「やっぱり、悪いのは私だよ」


城戸にあんな風に言われるのは、当然だ。