犬と猫…ときどき、君



どうしてこういう時の胸騒ぎというのは、当たってしまうんだろう。


「先生!!」

病院に着いた瞬間、暗闇に響いた、切羽詰ったその声に、息を飲んだ。


「先生っ!! 何か……もっと具合悪くなったみたいなんですけど!!」

入り口には、パジャマのままのオーナーと、その横にグッタリと横たわるハナちゃんの姿が見える。


「取りあえず、診察室に運びますね。手伝ってもらってもいいですか?」

落ち着いた声とは裏腹に、心臓がバクバクとその鼓動を速め出す。


どうしよう……。

この状態で、オペは出来る?

とにかく、落ち着かないと。


唾を呑み込むと、カラカラになった喉からゴクリという音が、自棄に大きく耳に響く。

だけど、急いで容態を確認した私は考え込んでしまった。


――もしかしたら、まだ何とかなるかもしれない。


「先生!! 早く何かして下さい!!」

さっきまでの気だるげな態度を豹変させて、ヒステリックに喚き散らす米原さんに焦りが増して、思考が鈍くなる。


「先生っ!! 何してんの!?」

ううん、多分助けるのは難しい。

だけど、オペをしないと絶対に助からない。

どうしたら……。


頭のてっぺんからつま先まで、どんどん冷たくなっていく。

それなのに、緊張のせいで胸の辺りだけが妙に熱い。

いずれにせよ一人では無理で、どうしたって助手が必要だ。


助手……。

その瞬間、やっぱり思い出すのは城戸で。

だけど、城戸の家はここから車で二十分以上かかる。


それに、もしかしたら……今日は松元さんが泊まっているかもしれない。


そう思った途端、泣きたくなる程心細くなってしまう自分は、普段どれだけ城戸に支えられているんだろう。


こんな時にそれを、再確認してしまうなんて……。


どうしよう。

マコは、無理。

他のアニテクだって間に合わない。


「すぐ戻るので、ちょっと待っていて下さいね」

米原さんに一声かけた私は、一旦診察室を出て、ポケットから携帯電話を取り出した。