犬と猫…ときどき、君



「今すぐに、手術が必要です」

「はぁ?」


血液検査を終え、レントゲンとエコーを撮り終えた私が口にした言葉に、オーナーは眉間に皺を寄せて、怪訝そうにそう返事をした。


「子宮蓄膿症という、子宮に膿が溜まってしまう病気で――」

出来るだけわかりやすく、どれだけ危険な状態であるかを、一生懸命伝えたつもりだった。


こうなると、本当に一刻を争うという事も、オペが必要だという事も。


私の説明に、やっと事態の深刻さを少し理解した様子のオーナーだったけど、“手術をしたら、100%助かるんですか?”というその質問に、

「今すぐに処置をすれば、もしかしたら助かるかもしれませんが……。その確率は相当低いです。ですが、オペの時間が遅くなればなる程、それは低くなります」

私はハッキリ、そう告げた。


だけど結局、オーナーは――「だったら、手術はいいです。放っておけば治るかもしれないし」と言い放ち、放置しても悪化するだけだという私の言葉を無視して。


「こんな事なら、最初から放って置けばよかった。無駄な出費じゃん。ホント最悪」

ぶつくさと文句を言いながらお会計を済ませて、病院を後にした。


「ねー、城戸」

「あー?」

「私の言い方、間違えてたかな?」

「あれ以上、どう説明しろって言うんだよ。あれで理解しないなら、何を言っても無駄だろ」

「うん……」


城戸のその言葉に、ホッとした。

城戸は、ダメなものはダメだとハッキリ言うし、気休めみたいな事は言わないから。


「よかった」

「……」

「ありがと」

「お礼の意味がわからん」

「何か、疲れたね」

「だなぁー」

こういう時、城戸がいてくれてよかったって、心から思う。