犬と猫…ときどき、君


「すぐオペすれば、助かるかもしれないんだよ!?」

思わず声を荒げた私に、城戸は瞳を閉じてゆっくりと息を吐き出す。


「あーいう飼い主は、普段放置してるくせに、何かあった時に限ってバカみたいに騒ぎ出す奴らが多い」

「……」

「だから“受け入れるなら、それなりの覚悟はしよう”って話」

「……うん」

「あと、ここまで重篤だと、助からない確率の方が高いって事はきちんと伝えないと」

城戸の冷静な言葉に、私は静かに頷いた後、そっとハナちゃんの頭を撫でた。


その瞬間、苦しそうにしていた目を、気持ちよさそうに少し細めて……。

ハナちゃんは“クーン”と、小さく鳴いたんだ。


「……っ」

この子は、何も悪くないのに。


悔しさで震える指で、私はレントゲンを撮り終えるまで、何度も何度も、その頭を撫でた。

さっき城戸がそうしたように……優しく、そっと。


レントゲンを撮り終えてエコー室に行くと、そこで待っていたオーナーの女性が、面倒くさそうに声をかけてきた。


「まだかかりますか? もしかかるなら、この子置いていって後で連れに来てもいいですか?」

「……」


こんなオーナーを、今までも何人か見てきた。

けれど、やっぱりそれに慣れる事なんて出来なくて、沸き上がるのは、やっぱり悔しい気持ち。


無責任すぎるオーナーに、思いの丈の総てをぶつけられたらどんなにいいかと、そう思ってしまう。


だけど、そんな事が出来るはずのない私は、米原《よねはら》さんというらしいその飼い主に、エコーのモニター画面を指差しながら、静かに口を開く。


「米原さん、この黒い部分、見えますか?」

「は?」

てっきり、自分の質問への回答が返ってくると思っていた彼女が、素っ頓狂な声を上げた。

だけど私は、それを気にする事なく、話を続ける。


それが彼女に届くかはわからないけれど、私達に出来るのは、こんな事しかない。