犬と猫…ときどき、君



「すみませーん!! ちょっと診て貰いたいんですけどー!!」


――その日の夜。

診療時間が終わって施錠されたガラスのドアを、ガンガンと叩く音が、まだ少し気まずい空気を残す医局に響いた。


それとほぼ同時に、目の前のドアが大きな音を立てて開けられる。


「胡桃っ!! 急患!!」

駆け込んできたのは、受付裏でカルテを戻していたマコで。

「誰?」

私よりも早く、それに返事をしたのは、城戸だった。


「わかんないっ! 多分新患!!」

ただ事ではなさそうなマコの様子に、着替えが終わって帰ろうとしていた城戸が駆け出す。


急患……。

何度経験しても慣れる事のない、この嫌な緊張感。


私も机に置いた聴診器を再び首にかけると、声が聞こえた入り口に、急いで向かった。


「芹沢、血液検査とレントゲン!! あとエコーの準備も!!」

入り口に向かう途中で、城戸の大きな声が廊下に響いて、遅れて到着した私の瞳に映ったのは、多分城戸によって運ばれて、診察室の台の上に乗せられた、大きなゴールデンレトリバー。


その隣には、呑気に、綺麗にネイルが施された爪をいじる女の人の姿があった。


城戸とその女の人の温度差に違和感を覚えたものの、私はすぐにエコーと血検の機械を立ち上げ、来た道を引き返して、レントゲンの準備を始める。