犬と猫…ときどき、君



「浜田さん、帰りましたよー」

「あー、ありがとう」

頭を抱えながら、色々考え込みすぎた頃、丁度いいタイミングで、コトノちゃんがオペ室に顔を出した。


「今日はココちゃんの爪きりでしたよー」

「へぇ……」

コトノちゃんの言葉に、苦笑いを浮かべながら診察室に戻ると、城戸が私の目の前に小さな包みを差し出した。


「何?」

「浜田さんが、渡しといてだと」

「……」

「こないだ、鎌倉に行った土産だとさ」

「どうもー……」

城戸を見上げながらオズオズとその袋を受け取ると、お会計を終えたミカちゃんがやって来る。


「浜田さん、今週三回目ですねー。ホント胡桃先生ラブですよねっ!!」

無邪気すぎる彼女は、楽しそうに、そんな言葉を口にする。


「ミカちゃん……」

「胡桃先生に会いたいが為に、“耳が痒そう”だの、“熱がありそう”だの、手を変え品を変え、ホントに良く頑張りますよねー」

ミカちゃんはすごく楽しそうだけど、私は正直笑えない。


浜田さんのお家には、ネコが五匹とイヌが三匹。

その子達を順々に連れて来ては、自分の携帯番号を書いた紙を渡してきたり、食事やデートに誘ってきたり……。


「はぁー……」

手に落とされた包みを眺めながら、溜め息を零す私に、

「中身なに? 小型カメラとか仕掛けられてたりして」

城戸まで楽しそうに笑って、そんな事を口にする。


「やめてよー。さすがに、そこまでヤバい人じゃないでしょ」

「いやぁ……。あの目つきは尋常じゃないでしょー。浜田さん、いいトコのボンボンだし、付き合っちゃえばぁ?」

「マコっ!!」

みんな他人事だと思って!!


「まぁ、一応気を付けとけよ」

恨めしげにマコを睨んだ私にそんな言葉をかけて、次の診察に向かう城戸。


その背中に、一瞬瞳を奪われる。