犬と猫…ときどき、君


ゆっくりと椅子に腰を下ろした俺とは対照的に、下を向いて突っ立ったままの仲野。


「座れば?」

「あ……はい」

微かに震える小さな声を吐き出すと、チラリと俺に視線をよこし、元々座っていた斜め前の椅子にストンと腰を下ろした。


静かに息を吐き出した俺は、篠崎に借りてきたノートパソコンをテーブルの上に置く。


「……っ」

その瞬間、仲野の肩がビクッと震えた。


「わかるよな?」

「……」

「答えによっちゃ、お前のパソコンぶっ壊す事になるんだけど……。そうしたくないから、取りあえずお前の言い分聞きに来た」

冷静でいたいのに、あのサイトの事を思い出すと、どうしても怒りが溢れそうになる。

表に出てしまいそうになるそれを、俺はグッと腹の中に押し戻し、出来るだけ静かに仲野に話しかけた。


「……」

「……」

――きっと、時間にしたら長くても数十秒。

だけど、妙に長く感じるその沈黙の時間は、どうしたって心地のいいものじゃない。


「仲野」

「……すみません」

思わず出てしまった、さっきよりも少し低い声に、仲野は小さな声で謝罪の言葉を口にする。


だけどさ、仲野。

違うだろ?


「俺が聞きたいのは、謝罪なんかじゃねぇんだよ。お前だって、それで済むなんて思ってねぇだろ?」

「……」

「何で、胡桃を傷付けた?」

俺の一言に、ピクリと反応して顔を上げた仲野は、噛み締めていた唇をやっと開いた。