「ねぇ、マコ?」
「なに?」
「マコって、未だに元彼と連絡取ってたりする?」
「元彼?」
「うん。篠崎君と付き合う前の」
私に質問に考え込むように視線を上に向けたマコは、小さく唸って眉間にシワを寄せる。
「取ろうと思っても、透がそれを許さない」
「あははっ! そっか!」
その表情と口調がおもしろくて、つい笑ってしまった私を、唇を尖らせたマコがチラリと見上げた。
「何でそんなこと聞くの?」
真っ直ぐ私を見据えたマコに、少し口篭りながら口を開く。
「いや、よくわかんなくて。今まで、別れた彼氏とこうやって関わりを持つ事がなかったからさ」
「うん」
「別れた後もこうして昔の感情を思い出して、ドキドキするのって普通なのかなぁって思って」
「う~ん……。あくまで“自論”ね?」
「うん」
マコの言葉に身を乗り出し、ウンウンと頷いて見せる。
「思い出す事はあるかもしれないけど、ドキドキするのは、やっぱりどっかに気持ちが残ってるからじゃないのかなぁ?」
「……そっか」
少し困ったように笑うマコに、私も小さく笑って、手元のお弁当に視線を落とす。
もしも、本当にそうだとしたら――……。
やっぱりそれは、葬り去らないといけない気持ちなんだよね。
あの日から、城戸は私じゃないあの子を選んで、未だに二人は一緒にいる。
私の気持ちが、まだ“恋愛感情”として残っているとしたら、ちゃんと忘れないと。
だって、
そんな恋は辛すぎる。