犬と猫…ときどき、君


「ちょ、ちょっと! 何っ!?」

着替えの途中、突然部屋に入ってきた城戸は、驚く私にチラッと視線を落として、大きな溜め息をこぼしながら、私の横を通り過ぎる。


「……え?」

そして窓辺に立つと、ゆっくりとブラインドを下ろした。


朝日を遮られ、一気に薄暗くなった部屋の中。

目の前に歩み寄った城戸が、少し屈んで、私の顔を覗き込む。

その瞬間、ふわりと香ったのは、未だに嗅ぎなれない煙草の香り。


ドクン……。


大きな音を立てた心臓が、一瞬の間を置いたあと、物凄い速さで動き出す。


な……に?


外から僅かに差し込む光。

それに照らされた城戸の顔は、息を呑む程に綺麗。


妙に近いその距離に戸惑いながらも、そんな事を思ってしまう私は、結構図太い神経の持ち主なのかもしれない。


ほんの少し睨むような視線を私に向けた城戸の唇が、目の前でゆっくりと開かれる。


「ブラインド」

「へっ!?」

何だかよくわからないその言葉に、素っ頓狂な声を上げた私の目の前には、城戸の真っ黒な瞳。


「ブラインドくらい下ろせ、バーカ」

「はっ?」

「ったく……何の為に外に出たかわかんねぇだろーが」

上体を起こし、髪をグシャグシャと掻きむしりながら、ぶつくさとそう口にする城戸に、私の頭はハテナでいっぱい。


「……んだよ」

「いや、キャミ着てるんだけど」

「あー?」

「キャミ」

別に下着姿になってるワケでも、ましてや裸になってるワケでもない。

夏場なんて、街中こんな格好の女の子で溢れてるじゃん。

そう思いながら、見上げる城戸の表情は、もう呆れ顔全開。