「――ワケわかんない」
あの後、結局、断り続ける私の言葉を却下し続けて、私を家まで送り届けた城戸は、車を降りようとした私を、今度は「芹沢」と呼び止めて。
振り向いた私の頭を“お疲れさん”と、軽く叩くようにポンポン撫でた。
部屋に戻って、手が付けられずにいた智也の荷物をまとめようと、箱を取り出す。
「……」
どうしても、途中で手が止まってしまう。
何度も思い出すのは、私の頬に触れたその手を、そっと引き離した瞬間の城戸の顔。
ハッとしたように一瞬目を見開き、次の瞬間、苦しそうは表情浮かべその瞳を伏せた。
「私……最低だ」
こんな時に思い出すのが、あんなにも傷付けてしまった智也ではなく、城戸の事だなんて。
頭の中がグチャグチャで、思わず頭を抱え込む。
「うう~」
小さく唸ってみたところで、それがスッキリするワケもなく。
「お風呂入ろ……」
諦めたように溜め息を零して、ゆっくりと立ち上がったんだ。

