――……
―――……
「胡桃?」
「……んー?」
その声に、ランで煙草を吸っている“城戸”から、聡君に視線を向ける。
「今日のオペの助手、俺が入るよ」
「へ?」
「何か、ボーっとしてるから、危なっかしい」
そう言って、クスッと笑ったあと、
「あいつ、ちゃんと休んでんの?」
「え?」
煙草を吸い終えて立ち上がる、城戸の姿を指差した。
「今日、城戸遅番だったんだろ?」
「あー……、そうなんだよね」
「コトノちゃんが、“ハルキ先生、早番の時間に来てるんですよぉ”って」
「朝」
「ん?」
「“松元さん”を、職場に送ってから来たんだって!」
「……そっか」
――そう。
今、城戸の隣にいるのは“松元さん”。
あの頃、あんなにも嫌いだった、“ぶりっ子・しーチャン”。
「さてと! じゃー、オペ始めようかな! 助手、お願いします」
「はいよ」
それでも私はこうして、笑っている。
だって今はもう、城戸と私は、ただの“友達”だから。