犬と猫…ときどき、君


「ごめんね、せっかくの休みの日に」

「いや、丁度良かったよ。ババァに“たまには帰って来なさいよっ!!”って、散々言われてたから、いい口実が出来た」

えー。私が伯母さんに怒られちゃうじゃん!」

「大丈夫だって。お袋、胡桃のこと大好きだから」

聡君のお母さんは、私のお母さんのお姉さんにあたる人で、まさに“肝っ玉母ちゃん”という感じの明るい人。


いつもは春希が寝転んでいるソファーの上で、胡坐をかいて楽しそうに笑う聡君に、私の頬も少し緩んでしまう。


「……胡桃、痩せたな」

「えー!? 痩せてないよっ!! 最近寒くて動かなくなったから、むしろ太ったと思うけど」

聡君の真っ直ぐな瞳に、心の中を見透かされるのが怖くて、誤魔化すように視線を逸らした。


「……そっか。あんま太ると、落とすの大変になるぞ」

「わかってますー。聡君こそ、ちょっと太ったんじゃない?」


伯母さんの話。

勤めている病院の話。

大学時代の友達と、飲みに行った時の話。

聡君は、私が笑えるような話だけをチョイスして、どんどん話してくれるから。

本当に久し振りに、何も考えずに笑っていた。


最近、春希と一緒にいると、息苦しさで押し潰されそうになる。

いつも胸が痛くて、泣きそうになるんだ。


“出来るだけ、何も考えないように”

そんな風に思いながら話す言葉は、本当に薄っぺらい、どうでもいい言葉ばっかりで……。


付き合っている理由さえ、時々見失いそうになる。


だけど、今が底辺なんだと思っていた。

だから、ゆっくりでもどうにか頑張れば、好転するかもしれないって、そう思っていた。


あの、一通のメールが届くまでは――……。