犬と猫…ときどき、君



――十二月。


「お疲れー!」

「お疲れ様! 無事終わって良かったー」

やっと終わった卒論発表に安堵しながら、私は大きく伸びをした。


「やっぱりみんな知ってる先生とは言え、あんだけ大勢の前で発表するとなると緊張するもんだねー」

「胡桃、最初の方、手ぇ震えてただろ?」

「えっ!? 何で知ってるの!?」

「ポインター、揺れまくってたし」

そんな事を言いながら“くくくっ”と笑う春希に、私は唇を尖らせる。


あれから、たくさん考えた。

ううん、違う。

“考えている”だ。

人生で、こんなに悩んだ事がないんじゃないかってくらい、悩んでる。


毎日毎日胃がキリキリして、心がどんどん重くなっていくのに、私は毎日、それを誤魔化すようにニコニコ笑っている。


ニコニコ、ニコニコ……バカみたいに。


春希は何も変わらない。

ここから出て行く事も、あの子の元に行く事もしない。

でも、あの日の事も、春希が吐いた嘘も、どうしたって消せなくて……。


だから私は、どうしたらいいか分からなくなるんだ。


別れたい?
別れたくない?

信じてる?
信じていない?


今でも変わらず……春希が好き?