犬と猫…ときどき、君



「胡桃、離れるぞ?」

その声に、何とか頷く。

「大丈夫か?」

――大丈夫?

小さく首を横に振ると、涙が後から後から零れ落ちて、滲んだ瞳にわずかに映る聡君の表情が歪む。


「城戸か?」

「……っく」

わからない。

「胡桃」

わからないの。

しゃくり上げながら、ただ首を横に振る私に、聡君は困ったように溜め息を落として。

ほんの少しだけ笑顔を作って、もう一度口を開いた。


「胡桃、わかったから。もう聞かないから。家に帰ろう」

「……ん」


こんな所には、いたくない。

瞳を開ければ、目に映る真っ青な空。


こんな空、

見たくない。